冬が近づき、再びその時期がやって来ました。ポータブル石油ストーブを取り出そうとしたら、なんと灯油が昨年から入れたままになっていました。さらに、消費しきれずに残った灯油がポリタンクにも保管されています。
一年間そのままの灯油を使っても問題ないのか、それとも安全面で何かトラブルはあるのか、気になるところです。こういった疑問は案外多くの人が抱えているものです。
今回は、昨年残してしまった石油ストーブ用の灯油やポリタンク内の灯油について、現在も安心して利用できるのかをご紹介します。
ファンヒーターに古い灯油を入れっぱなし?取扱いについて
実施された灯油の燃焼テスト
ポータブル石油ストーブは、灯油を染み込ませた芯で燃焼させるタイプ(対流・反射式)と、灯油を燃やした熱をファンで拡散させるタイプ(ファンヒーター)の2種に分けられます。
独立行政法人国民生活センターでは、これらのストーブを用いて質の劣った灯油を燃やした実験を行い、以下の結果を得ました。
実験結果の概要
対流・反射式ストーブ
一部の機種では芯の稼働不良や、消火後も種火が残る事例が見られました。
ファンヒーター
燃焼が不十分であるケースや、エラー表示が出る、内部の錆発生など、いくつかの問題が報告されています。
灯油の劣化に関する注意喚起
以上の結果は灯油が不良または劣化した場合に生じる事象です。去年のものが入れっぱなしにされていた灯油が劣化しているか否かがカギとなります。
全てのストーブで問題が発生したわけではありませんが、同様の状態が自宅のストーブで起こらないとは限りません。異常が生じた場合もあると覚えておきましょう。
灯油劣化のチェック方法
色の確認
灯油は本来透明です。色が変わっている場合は劣化の兆候です。
匂いの検査
酸っぱい匂いや異臭がする場合は、使用を控えるべきです。
視覺的な検査では、灯油が分離していたり、不純物が見られる場合も使用を避けるべきです。これらのいずれか一つが見られた場合は、灯油を使用しない方が安全です。
灯油の長期保存と石油ストーブの使用について
ファンヒーターには古い灯油の使用は注意が必要
一般的には昨シーズンに購入した灯油も再利用できることが多いですが、特に北海道などの寒い地域では、春から秋にかけて灯油が使われない期間も短く、劣化する前に使用するケースが多いです。
ファンヒーターでは燃焼状態が見えにくい
燃え方が目視しづらいファンヒーターでは、劣化した灯油を使うことの注意が高まります。
芯式のストーブならば、燃焼の様子を直接確認できます。
ネットでの情報は鵜呑みにしないこと
インターネット上では、古い灯油でも問題なく使えたという意見も散見されますが、それが常に正しいとは限りません。
他人の経験はそのまま自分には当てはまらない
他人が問題なく使用できたからといって、自分の石油ストーブも同様に安全とは限りません。
ポータブルストーブの使用時には注意を
ポータブルストーブは不完全燃焼を起こしやすい
ポータブル石油ストーブは、不完全燃焼につながりやすいため、使い残した灯油を安易に使用するのはやめましょう。
周期的な点検と燃料の管理が重要
無自覚のうちに起こることもあり得るため、ストーブ自体のメンテナンスと灯油の品質管理は定期的に行うべきです。
灯油の管理:タンク内残りの使い道は何か?
ポリタンクの活用方法
露光を防ぎ品質を保つためにJAS規格のポリ缶を選ぼう
灯油を安全に保管するため、UVカット機能が付いた高密度ポリエチレン製の容器を選択することが重要です。
また、JAS規格をクリアしているものを使用しましょう。
タンク内の灯油は時折ばリティチェックを
ポリタンクに残された灯油は、状態によっては使用できることもありますが、色や匂い、見た目の変化を確認して、質の劣化をチェックすることが大切です。
換気を心がけ燃焼状態をモニター
灯油の状態に異常がないと判断した場合でも、実際にストーブで使用する際は、換気をしながら燃焼具合を観察してください。
何か異常を感じたらすぐに使用を中止しましょう。
灯油の適切な処分方法
灯油の適正な処分方法にはいくつかあります:
ガソリンスタンドに持ち込もう
灯油を無料、または若干の手数料(500円前後)で処分してもらえることもあります。
購入店舗に処分を依頼する
レシートが残っていれば無料で処理してくれる場合もあれば、有料で処理してもらうことも可能です。
不要品回収業者を利用する
有料ですが、他の不要品と一緒に処理を依頼すると便利です。
絶対にしてはいけない処分方法
自分で処分するのは絶対にやめてください。下記のような行為は絶対に避けてください:
土の中に埋めない
土壌を汚染する原因となります。
下水道に流さない
気化する可能性があり、処理施設に影響を与える可能性があります。
ストーブ以外で燃焼させない
予期せぬ引火への発展があり得ます。
凝固剤による固めは避ける
凝固剤は高温の油を固める物質ですが、灯油を熱して使用すること自体がNGです。
総括
昨年も無事に灯油を使用できた事例がありますが、それによって大丈夫であるとは断言できません。
トラブルがいつ起こるかは未然に予知が難しいものです。古い灯油の使用を考えている方は、使用を控えることを推奨します。