ムカデを殺さないほうがよいとされる理由は何でしょうか？
- ゴキブリやネズミなどを餌とする
- 殺すと仲間が集まると言われています
- 縁起が良い生き物とされている
- 祖先の使いとされることもあります
これらの理由には事実と迷信が混在しているとされています。
予期せず家に現れるムカデは、見た目が不快で、噛まれると非常に痛いため、不快な存在と感じられがちです。
一戸建てだけでなく、マンションやアパートにも侵入するため、非常に厄介です。
殴ったり殺虫剤を使って駆除したい気持ちはわかりますが、昔から「ムカデは殺してはならない」という言い伝えがあります。
以下で、ムカデを殺してはいけない理由を詳しく解説し、４つの理由を検証していきます。
記事の末尾までムカデの写真は一切掲載しておりませんので、ご安心ください。
ムカデを殺してはいけない４つの理由
ムカデを殺してはいけない主な理由は次の４つです。
- ゴキブリやネズミを食べてくれるため
- 殺すと仲間が集まるとされているため
- 縁起が良いとされているため
- 祖先の使いとされることがあるため
これらの理由から、ムカデを殺さないほうが良いという考えが長く受け継がれています。
ゴキブリやネズミを食べてくれるから
ムカデは肉食性が強く、他の昆虫だけでなく、ネズミや小鳥も捕食します。特にゴキブリはムカデにとって理想的な食事です。
ゴキブリは人間にとって精神的・衛生的に害のある害虫ですし、ネズミは疾病を運び、家屋や家具をかじる害を及ぼします。これらを減らしてくれるムカデは、人間にとって非常に有益です。
そのため、ムカデは益虫と呼ばれることもあります。また、クモもムカデの捕食対象であり、クモが出現すると困る人には心強い味方です。
不思議な生態が相手を引き寄せる
「ムカデを潰すと仲間が集まる」とは、古来より伝わる言い伝えです。
一匹のムカデを潰した時、しばしば他のムカデが姿を現します。
一匹退治した直後の安心もつかの間、再び新たなムカデが出現するのです。
ムカデの体液が特有の匂いを放ち、これが仲間を引き寄せると言われています。
※この説については、後ほど詳細に説明します。
縁起の良い生き物とされる理由
昔の日本で、ムカデはその恐ろしい外見に反して、縁起の良い生き物とされていました。
毘沙門天の使いとして
古くから、ムカデは毘沙門天の使者と考えられています。
毘沙門天に関連する寺や絵馬には、ムカデの図がよく描かれています。
毘沙門天は七福神の一員で、特に武士に深く信仰されていました。
戦国時代の武士たちは、ムカデのデザインを装飾品に用い、「前進のみ」の性質を勇気の象徴と捉えていました。
そのため、ムカデは「勝ち虫」とも呼ばれ、戦士にとって幸運をもたらす存在だったのです。
商売繁盛と金運上昇のシンボル
ムカデは漢字で「百足」と表されます。
実際には足は100本ありませんが、その多足が「多くの客が来る」と解釈されています。
また、足が多いことから「多くのお金がある」とも関連付けられ、縁起が良いとされています。
子孫繁栄の象徴
ムカデは多くの卵を産みます。
孵化後も、子ムカデが一人前になるまで母ムカデが献身的に世話をする姿は、「子孫繁栄」の象徴とされています。
鉱脈の守り神
採掘者たちにとって、ムカデは山の神の使いと見なされています。
その理由は、ムカデの形が掘り進める鉱脈や採掘坑に似ているからです。
危険な採掘作業において、ムカデは避けられる存在ではなく、むしろ歓迎される存在でした。
日本には古くから、時々家に迷い込む虫は亡くなった人が訪れているとされる信仰があります。そのため、特定の地域ではこれらの虫を害虫とみなさず、敬って接しています。
特にムカデは、たびたび訪れる存在として、ある種の尊敬の対象となっています。
ムカデが保護されるべき理由についての探求
ムカデがなぜ害虫ではなく保護されるべき生物なのか、その理由を詳しく調べてみましょう。この慣習がただの迷信でなく、合理的な根拠があるのかを考察します。
ムカデの益虫としての価値の真相
ムカデは実際にゴキブリやネズミなどの害虫を捕食し、その結果として人間に利益をもたらすことが知られています。
しかし、現代では他にも様々な対策が存在するため、ムカデに頼る必要性は低減しています。
現代のゴキブリ対策
最近ではブラックキャップのような効果的なゴキブリ駆除方法が広まり、これによって家庭内のゴキブリ問題が簡単に解決できるようになりました。
したがって、ムカデをゴキブリ対策として用いる必要はもはやありません。
現代のネズミ対策とムカデの役割
昔に比べて現代ではネズミの出現が大幅に減少しており、家庭でネズミを見かけることは珍しくなっています。
これにより、ムカデを利用する必要も減少しています。
ムカデが集まる？⇒それは誤解です！
科学的には、ムカデを殺してもその仲間が集まる証拠は一切ありません。
この考えは単に人間の誤解に過ぎないのです。ムカデにはそのような行動を取る能力がないのです。
親子の絆が誤解を生む
長年、ムカデが「夫婦」として行動すると誤解されてきました。しかし、これは完全な誤解です。
実際には、母ムカデが子ムカデと共に行動し、食事を与えながら成長を見守ることがあります。
この様子が人々には「夫婦」と見えたのです。片方が失われると、もう一方が近くで見つかることがあるため、この誤解が生じました。
仲間を呼ぶフェロモンは存在しない
フェロモンを使って仲間を呼ぶのは、ハチやアリなど群れを形成する種の特徴です。
ムカデは基本的に単独で活動し、フェロモンを使って仲間を呼ぶことはありません。ムカデを潰すと臭い体液が出ますが、これが仲間を呼び寄せるわけではありません。
縁起の良い虫？⇒信じるかどうかはあなた次第です！
かつてムカデは縁起が良いと広く信じられていましたが、現代ではそのような迷信を信じる人は減っています。
もちろん、古い教えを重んじる人にとっては重要な信念かもしれませんが、それを信じるかどうかはあなたの選択に委ねられています。
祖先からの使い？⇒それも信じるかどうかはあなた次第です！
この考えも、個人の信仰に基づいています。
特にお盆の期間には、すべての生き物を尊重するというルールがありますが、その解釈は個々人の判断に委ねられています。
まとめ
ムカデを殺さない理由は様々ですが、以下の点が挙げられます：
- 益虫としての価値があるから
- 集まるというのは誤解
- 縁起を担ぐため
- 祖先の使いとされること
これらについては、益虫としての価値は事実ですが、現代では他の手段もあります。集まるというのは誤解であり、縁起や信仰に関しては、信じたい人だけが信じれば良いことです。大多数の人にとっては気にする必要はないでしょう。
