過去に家庭内のテレビを廃棄し、NHKの契約を解除した経歴があります。それから間もなく別の県へ引っ越しをしました。
しかし、そこに着いた後わずか1年に満たない期間で、宛名が記載されていないNHKの「特別あて所配達郵便」を通じて「放送受信契約のお知らせ」という郵便が数回送られてきました。
解約してから引越しをしたため、新しい住所をNHKには伝えていないはずなのに、なぜか郵便が届くのです。このことは、率直に言って不自然に感じます。
類似の経験をしている他の方が、不用意に何かをしてしまわず、正しい対応ができるように、私がまとめた情報をここにまとめておきたいと思います。
NHKからの「特別あて所配達」って何だろう?
NHKから宛名を記載しないで届く「特別あて所配達」という郵便物には、放送受信契約をまだ結んでいない住所に届けられる「放送受信契約のお知らせ」が含まれています。
「特別あて所配達」と記載されたNHKからの郵便物
NHKが送ってくる郵便物には、表面に「特別あて所配達」という文言が明記されているため、封を切ることなく中身が何であるかがわかります。
パッケージ内容
NHKからのパッケージに含まれる内容は以下の通りです。
- 放送受信契約書兼住所変更届
- 放送法(抜粋版)およびNHK放送受信規程
- 受信料に関する案内文書2枚(受信料の金額に関する情報及び値下げ等に関する通知)
- 個人情報保護のための返信用シート
返信が必要な書類の期限指定や、通信販売のプロモーションとしてよく見られるプレゼントや割引に関する情報は含まれておりません。
住所のみで届いた郵便物とは?
配達先を確認すると、受取人の名前が記されていないにも関わらず、住所情報のみが明記されています。具体的な宛名が示されていないため、誰がその住所で生活しているのかは特定できません。
住民の情報は不明ですが、その住所にはこれまでNHKとの受信契約が存在しないため、契約に関する案内が届けられたのです。
要約すると、「誰がそこに住んでいるのかは不明だが、その住所には契約がないため、受信契約をご検討ください。もし既に契約されているのであれば、転居などによる住所の変更をお忘れなく」というわけです。
現住所が既に登録されているかどうかに関わらず、居住先が明確であれば郵便物が送付されるのです。
引越しを行う際には、郵便局に「転居届」や「転送届」を提出することが一般的ですが、これによって得られた情報がそのまま共有されるわけではありません。
「特別あて所配達郵便」と書かれたNHKからの郵便物への適切な対応方法
「特別あて所配達」郵便の対応策
NHKから配達される「特別あて所配達」の郵便物には、以下のような対応が必要です。
- お手持ちのテレビや受信機があるが、まだNHKとの契約をしていない方は、同梱されている「放送受信契約書 兼 住所変更届」を返送するか、もしくはオンラインで契約の手続きを行います。
- NHKの受信契約を既にしているが、その郵便物を受け取った住所で登録がなされていない場合は、住所変更または契約追加の手続きをします。
- テレビや受信機を一切所有していない場合、郵便物を無視して破棄するのが適切です。
支払漏れが悪質な場合には、訴訟に発展する可能性もあるため、受信設備を所有している場合は、正式な契約を結び、受信料を支払いましょう。もし受信料の支払いが不要で、テレビ視聴の必要がない場合は、正規の解約手続きを踏んでください。
なお、テレビ放送を受信できない「チューナーレステレビ」をお持ちの場合は、契約の必要はありません。わが家にはチューナーレステレビのみがあり、テレビ放送を受信可能なデバイスがないので、届く郵便物はすべて無視して廃棄しています。
「NHKからの特別あて所配達」郵便に関する返送の義務は?
ご承知の通り、テレビなどの受信設備を保有しつつ受信契約を結んでいなかったり、住所変更などの手続きを怠っている場合には、返送するかウェブでの手続きを行う必要があります。
ただし、受信設備を持っていない場合は返送の必要はございません。NHKのウェブサイトにもこの情報は掲載されています。
返送が不要である際の詳細な説明がないのは、なんともNHKらしい対応と言えるでしょう。
NHKの「特別あて所配達」郵便物、受取拒否は慎重に
NHKから届く「特別あて所配達」の郵便物を受け取らない選択は、通常起こりえない方がいい選択かもしれません。
確かに、ダイレクトメールの場合、受取を拒否して返送する事によって、これ以上送付されなくなる可能性は存在します。
しかし、NHKの送付物については、受取拒否をすることで、その住所にNHKの受信契約を結んでいない世帯があるという事実をNHKが確認する結果につながる恐れがあります。
送付された文書には、配達先の住所や管理番号などの情報が含まれており、これらを拒否し返送する行為は、該当する住所を使用している住民が存在することをNHKに知らせる行為に他なりません。
そして、それはNHKのスタッフによる戸別訪問の可能性をもたらすかもしれません。
NHKでは受信料徴収に関する業務を行う外注の法人事業者への委託契約を2023年の9月末で打ち切りましたが、個人委託のスタッフについては、2024年5月末までに約550人が稼働しているとのことです。
もし「特別あて所配達」とされた郵便物を受け取ることを拒否する必要がある場合、その手続きは非常に簡単です。具体的には、押印や署名をする必要はございません。
ただ、「受取拒絶」と明記したメモや付箋を封筒に貼り付けていただき、その封筒を郵便ポストに投函するだけです。郵便局の窓口に持って行くだけで、差出人に返送されます。
普通の郵便物の場合と違い、受け取りを拒否する際には、受取人の押印や署名がなくとも問題ありません。
「特別あて所配達郵便」とは
日本郵便が提供する「特別あて所配達郵便」とは、2022年6月21日から始まったサービスで、受取人の氏名を知らなくても指定の住所に郵便物を正確に配達するというものです。
このサービスは地域ごとに配達するタウンメールと似ていますが、異なるものです。
- タウンメール(配達地域指定郵便物):特定の地域内すべての住宅に配達する。
- 特別あて所配達郵便物:特定の住所または場所のみに配達する。
どちらのサービスも受取人の氏名が不明であっても配達可能ですが、「特別あて所配達郵便」では指定の住所に直接、郵便物を届けることが可能です。
この便利な「特別あて所配達郵便」には、追加で150円の料金がかかります。
- 25gまでの標準郵便物(手紙)の場合:84円+150円=234円
- はがきの場合:63円+150円=213円
NHKから送られてくる「特別あて所配達郵便」は、一通につき234円の料金が適用されています。
NHKが特別あて所配達郵便の使用を始めた理由
NHKはかつて、受信契約に関する案内を返送期日付きでポスティングにより配布していました。だが、この方法は問題があるとして総務省から2022年12月14日に、行政指導を受けています。
この指導は、返送期限つきで特定の受取人宛に送られるNHKの文書は「信書」とみなされ、郵便法第4条で「信書送達の委託」を禁じる規定に反するためです。
「信書」とは、特定の人物に宛てられ、情報や差出人の意志を伝える文書であり、法律上、日本郵便が提供する「定形郵便」など一定の方法で送ることが義務付けられています。
これに反し、NHKの職員や外部からの委託を受けた者が信書の配送業務を行うことは許されておらず、これはNG行為です。
なお、NHKは受信料の徴収コストを削減するために外部業者による家庭訪問を減らし、委託を完全に停止しました。その結果、家庭訪問の手段が取りにくくなったため、「氏名不要で住所のみによる配達が可能な特別あて所配達郵便」が新たに導入されることになったのです。
NHKの郵便送付費用はいくらになるのか
NHKが2024年4月に全国に発送した郵便物の数は約515万通に上るという情報があります。これを元にした概算では、送料だけで約12億円(1通あたり234円で計算)がかかっていることになります。
この額は製作費や管理費などは含まれていないとされています。一ヶ月だけでこれだけの量と金額になるとは、正直驚きです。
2022年度におけるNHKの受信契約率は82%(世帯契約率81%、事務所契約率87%)で、契約数は4144万件だと報告されています。
しかしながら、2019年を最高点として微減傾向にあり、人口減少や若者を中心に受信契約を行わない世帯の増加に伴い、今後は契約数が減少することが予測されます。これはNHKにとって大きな課題と言えるでしょう。
日本郵便がどの程度の単価でこの仕事を請け負っているかは公開されていませんが、推測するに相当な金額が動いていることは間違いありません。そして、これらの経費は最終的には視聴者が支払う受信料から補われているのです。