お見舞金を贈る際の添え状の書き方には、多くの方が悩まされるものです。しかし、正しい添え状の書き方を理解することで、受け取る方への気持ちが伝わりやすくなります。
この記事では、病気や事故、自然災害など様々なシチュエーションに応じたお見舞金の贈り方から添え状の具体的な内容、袱紗の選び方までを詳しく解説しています。
また、贈る際のタイミングや金額の相場、さらには贈る形式についても触れており、贈り物のマナーを一から学ぶことができます。
お見舞金を選ぶ際の心得や、現金、商品券、電子マネーの使い分けも含め、すべてのポイントを網羅していますので、ぜひご一読ください。
お見舞金同封の添え状の書き方
お見舞金を贈る際は、短くても良いので添え状を同封することをお勧めします。手紙を便箋に記すことも可能ですが、一筆箋を用いて簡単な言葉を添えるだけでも十分です。
一筆箋では、特別な書き方のルールがないため、気楽に筆を執れるでしょう。宛名、挨拶、内容、結びの言葉、差出人の名前といった基本構成に従って記入します。
疾患に際する慰問の言葉
貴殿の態勢の様子は如何にございますか。
現在はどうぞ十分にご自愛なさって下さい。
速やかなる快復を心よりお祈り申し上げます。
交通事故の見舞いに際し
交通事故の報せを受け取り、心より驚いております。
早期の回復と、再び健やかな姿でお目にかかる日を心から願っております。
被災地への心温まるお見舞い
この度の災害により被害を受けられた皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。微力ながらお役に立てればと存じます。
お見舞い金の送り方と添え状の添付方法・入れ方は?
お見舞い金を郵送する際は、添え状に特別な封筒を用意する必要はございません。便箋を用いる場合は、適宜三つ折りにして整えます。
単なる一筆箋を使用する際は、そのままの状態で添えていただいて問題ありません。その添え状を、お見舞い金を収めた袋の上に乗せて、発送用の封筒に入れて送ります。
お見舞金の慣習とタイミング
人が病気や怪我で静養している際や、火事や洪水、地震といった自然災害にあった時に、お見舞金を直接手渡すことや郵便で送ることが一般的です。
お見舞いの品として物品を贈ることが多いですが、受け取る側が欲しいものが分からない場合や、実際に喜ばれるものを選ぶことが難しい時には、物品の代わりに現金を贈って、相手に役立ててもらうことがあります。
お見舞い品は品物と現金どちらが妥当か
前述したように、一概に品物が良いとは限らず、現金が適しているとも言い切れません。
インターネットの記事で「人気」「定番」と紹介されている品物も、実際はそれほど喜ばれないことも多々あります。
場合によっては喜ばれないお見舞い品の例
- ルームウェアやブランケット
- 書籍や雑誌
- 生花やハーバリウムなどの花関連商品
- 菓子類や果物
- ハンドクリームやマッサージ用品といったセルフケア商品
特に、入院の際のお見舞いでは、贈る側は善意でいるものの、受け取る側には様々な理由で喜ばれないことがあります。例えば、趣味が合わない、食事制限がある、食べきることができない、置き場に困る、退院時の処理が面倒などです。
お見舞金は現金ですので、金額が明確であり、その生々しさから、「経済的に困っていると見られたくない」といった感覚を持つ人もいます。また、贈る側、受け取る側双方にとって抵抗感を覚える場合も少なくありません。特に、目上の人へ現金を贈ることは、不適切と考えられることもあります。
お見舞い品を選ぶ際は、相手との関係やその時々の状況を考慮しなければならないため、一概にどちらが良いとは言えないのが実情です。
お見舞いの熨斗(のし)、水引、封筒についての考慮事項
熨斗紙(掛け紙)や水引に関しては、以下のような基本理念に基づいて扱うことが一般的です。
疾患や怪我のお見舞い
見舞金については、慶事には該当しませんが、回復を願う気持ちを込めて、水引きなし、又は白と赤の水引きの結びきりが施された不祝儀袋の使用が一般的です。
近頃では、家族や親族、友人や知人向けに、水引きのないタイプのものが流行しています。
災害見舞金における心遣い
被災者への見舞金を贈る際、袋の選択にはいくつかの作法があります。通常は、飾り気のない白無地の封筒を使用することが望ましいとされています。熨斗や水引の付いていないシンプルなものを選びましょう。
しかし、封筒は淡色系の水色やクリーム色を用いても支障はありません。紅色のラインが施されているもの等、多少装飾があっても問題はありませんが、一般的には控えめなデザインを選ぶことで、避けるべき過ちは少なくなるでしょう。
お見舞金の封筒・袋の選び方:水引の必要性
病気や事故によるお見舞いの際には、かつては紅白の結び切りやあわじ結びのある水引が用いられることが一般的でした。しかし、現在では水引のない封筒・袋を使うことが増えています。
それでも、贈る金額が多額の場合は、水引が添えられた祝儀袋や、和紙を用いた厚手の無地の金封を使用することで、品の良い印象に仕上がります。
災害や病気、怪我が特に重い状況のときには、祝い事に用いる水引き付きの祝儀袋や熨斗(のし)のあるものは避けられ、白無地など控えめなデザインの封筒や袋が適しています。
水引きの結び方の意味とその使い分け
ご祝儀袋に用いられる水引きですが、その結び方にはそれぞれ意味が込められており、適切な場面で使うことが大切です。
【水引きの結び方とその意味】
- 結び切り:一度結べば解けないことから、「二度と同じ事態が起こらないように」という願いが込められています。主にお見舞いや快気祝い、それに弔事の際に用いられます。この場合、水引は黒白や双銀色を選びます。
- あわじ結び:結び目が引っ張ることによって強くなる特徴から、一度だけのお祝いごとに用います。例えば、結婚式のご祝儀に使用されることが多いですが、弔事の際にも黒白や双銀の水引で用いられます。また、慶事では紅白の水引を使用します。
- 蝶結び:お礼や挨拶、さらには何度起きても良いとされるお祝い事に適しています。具体的には、お歳暮やお中元、入学祝い、合格祝い、出産祝いなどに使われます。
- 梅結び:縁起物である「松竹梅」の梅をモチーフにしており、運気の上昇を願う意味があります。祝い事に用いることが一般的で、魔除けや運気向上とも関連付けられています。ただし、お見舞いの場面では用いないのが無難だとされています。
お見舞金の包み方と記載事項
お見舞金を贈呈する際、封筒の表書きには「御見舞」や「お見舞」などと記します。
市販されている印刷済みの封筒を用いても問題ありません。
送金を包む中袋には、表面には金額を、裏面には住所や氏名、電話番号といった連絡先を記入します。
ただし、家族や親しい友人、知人など親密な関係の相手へのお見舞金で、お礼の必要がない場合は、金額や連絡先を記す必要はありません。
お見舞い金の基本的な相場
お見舞い金の額は、相手との関係性や状態、贈る側の世代や経済状況によって変わります。そのため、標準的な金額を参照にして選ぶことが望ましいです。
- 親
- 金額: 10,000円~30,000円
- 祖父母・兄弟姉妹・孫・親戚
- 金額: 5,000円~10,000円
- 友人・知人
- 金額: 3,000円~5,000円
- 会社の上司
- 金額: 3,000円~10,000円
- 備考: 品物を贈るのが好ましい
- 会社の同僚
- 金額: 3,000円~5,000円
- 備考: 個人で負担する場合
- 会社の部下
- 金額: 5,000円~10,000円
- 備考: 個人で負担する場合
- ご近所の人
- 金額: 3,000円~5,000円
相手によっては金銭ではなく品物を
上司や目上の方へのお見舞いには、金銭を贈るのは失礼とされることがあるため、品物を選ぶことが無難です。
忌み数字には気を付けよう
4や6、9という数字は、それぞれ「死」「無」「苦」という言葉を想起させるため、避けられる傾向にあります。複数名での贈り物の際は、3・5・10単位で調整するのが一般的です。
家族や親族に対しては、親密な関わりがあるため比較的高めの額を包む傾向があります。例えば、親に対しては頻繁に助けに行くことができる場合は包まなくても問題ありませんが、遠方に住んでいる等の理由で手助けを他の家族に依頼する状況であれば、可能であれば多めに包んだ方が良いでしょう。
友人や知人、会社の同僚等へのお見舞いには少額を包む理由は、相手への思いやりから来ています。数千円程度であれば、お返しは不要であり、互いに助け合うことができる関係を築けるため、相手に負担をかけずに済む適切な金額です。
お見舞金のマナー:ピン札か新札か
慶事に際してのご祝儀と異なり、お見舞金を渡す際にはピン札や新札を用いる必要はございません。
しかし、非常に痛みがひどいお札を贈ることは避けるべきです。保有しているお札の中で、状態の良いものを選んで封筒に入れましょう。
もしピン札のように整った状態で贈りたい場合は、軽く中心を折ってからお包みになると良いでしょう。
お見舞金封筒への紙幣の入れ方とは?
特別なルールは存在しませんが、喜ばしい出来事の際に用いる方法に倣って行うことが一般的です。
紙幣の肖像が正面を向くように、かつ、向きを揃えて封筒に収めます。
肖像の上下位置については、特に定められたマナーはございません。
お見舞金の封筒選びと中袋の有無
お見舞金を贈る際、金額に応じては、中袋(内袋)に入れることを推奨します。
オンラインショップやコンビニエンスストアで購入できるお見舞金用の封筒に、必ずしも中袋が添付されているわけではありません。
購入の際は事前に中袋が含まれているかを確認しましょう。万が一の書き間違いに備え、予備として無地の白い封筒を複数用意しておくことが望ましいです。
お見舞金 金額の記載方法
お見舞金に記載する金額は、一般的には「壱」「弐」「伍」「仟」といった大字(旧字体)を用いることが多いです。
算用数字と対応する漢数字・大字:
- 1: 漢数字「一」、大字「壱」
- 2: 漢数字「二」、大字「弐」
- 3: 漢数字「三」、大字「参」
- 5: 漢数字「五」、大字「伍」
- 7: 漢数字「七」、大字「七」(同じ)
- 8: 漢数字「八」、大字「八」(同じ)
- 10: 漢数字「十」、大字「拾」
- 100: 漢数字「百」、大字「百」(同じ)
- 1,000: 漢数字「千」、大字「仟」
- 10,000: 漢数字「万」、大字「萬」
しかし近年では、お見舞金の金額を漢数字で記すことも問題ないとされています。相手の異存がなければ、使い分けてもよいでしょう。
お見舞金の代用としての商品券やギフトカードについて
従来のお見舞金に替わり商品券やギフトカードを贈る場合には留意すべき点があります。病院への入院中ならば、施設内で利用可能な商品券は限られていることが多く、ギフトカードに至っては更に使用できる種類が制限されることがあります。
また、災害などの特別な事態においても、その地域で即座に利用できるとは限りません。贈り物は受け取る方が使い勝手を考えずに済む形を選ぶのが望ましいでしょう。
特に尊敬する方や上司に贈る場合には、現金の授受を避け、商品券やギフト券の選択が考えられます。家族や友人、知り合いの中で、日常的にAmazonの利用が多い人に対しては、Amazonギフト券を推奨します。
これは買い物はもちろんのこと、書籍や映画などのエンターテイメントコンテンツの購入、さらに税金の支払いなど幅広い用途に利用可能です。また、贈る側と受け取る側双方にとって手間がかからず非常に便利です。
お見舞いやお祝いのシチュエーションでアマゾンのギフトカード(通称:アマギフ)は現金よりも授受がスマートであり、3,000円程度のものでも気負い無く贈ることができます。受け取った方も負担が少ないため喜ばれます。相手が自らのアカウントに登録するだけで済み、現金で発生する盗難リスクなどの心配も少なく、双方に安心感を提供します。
お見舞金の支払いに電子マネーは適切か
お見舞金を電子マネーで贈る場合、いくつか留意点があります。まず、入院している場合、病院内で電子マネーが使用可能かどうかは不透明ですし、災害が発生した際には、被災地域で電子マネーを直ちに利用できる保証はありません。
贈られた人が、必要なタイミングで手軽に活用できる方法で贈ることが重要です。既に述べた通り、Amazonの使用が日々の習慣となっている人であれば、Amazonギフト券が便利でしょう。送金者も受取人も気軽で、使い道の幅も広く安心できます。
お見舞金の際の袱紗選びのポイント
お見舞金を手渡す際には、どの色の袱紗を利用すれば良いのでしょうか。適切な色選びが求められます。
慶事でも弔事でも用いることができる紫色の袱紗は、万能とされていますので、選択に迷った際には紫を選択することをおすすめします。
通常、喜ばしい行事ではピンクなどの暖色系を、葬儀のような哀しい儀式では黒やグレーのような寒色系が用いられる傾向にあります。
疾患や怪我によるお見舞いの場面では、「一日も早く回復することを願っています」の意味を込めて、明るいピンクやオレンジ色の慶事用袱紗が使われることがあります。ただし、これに抵抗がある場合は、慶弔兼用の紫色であれば失礼にあたる心配はございません。
1枚だけ持っておく意味でも、慶事にも弔事にも対応でき、お布施を渡す際にも便利な「台付き袱紗(ふくさ)」が特に推奨されます。
お見舞い専用のものや、手軽に使えるような金封袱紗も便利なアイテムです。
お見舞金を贈る際の心得とは?
お見舞金を手渡す際には「気持ちばかりですが、お役立ていただけますと幸いです」といった心温まる言葉を添えるのが望ましいです。
お見舞いに持参した品物や金銭への心付けについては、通例で半額程度のお返しをいただくことが多いですが、相手の負担を考慮してお返しの必要がないことをはっきり伝えるのが礼儀とされます。
もしAmazonギフト券(アマギフ)を選んだ場合は、「お好きな本でもお読みいただければ」と気軽に言葉を添えると良いでしょう。
お見舞いの品物に適切な包装とは?
ご友人や知人へお見舞いに行く際、心づけとして品物を携えることも少なくありません。品物の包装には、病気見舞いに相応しい熨斗や水引を配慮することが大切です。
熨斗紙の選び方
一般的に熨斗(のし)は必要ありませんが、贈り物の形式によっては紅白の結び切りが一般的な水引の熨斗紙を使用すると良いでしょう。
これはお見舞いの際の心遣いを表す古くからの風習です。
リボンの使い分け
さりげないプチギフトや贈り物であれば、小さめのリボンで装飾することもできますが、その場合は「お見舞い」といった文言は控えるべきでしょう。
配慮が求められる場合
相手が大病や怪我である場合、あるいは災害に見舞われている際には、紅白の水引は控え、白無地の掛け紙を選ぶのがふさわしいとされています。
無地の雅やかな包装は、心温まる気配りとなります。
お見舞金の送付方法について
病気やケガの見舞いとして贈るお金、いわゆるお見舞金は、遠方にいる場合など直接手渡しできない際は、通常、現金書留を利用して送付します。
もしギフトカードや商品券をお見舞いとして選ばれる場合は、簡易書留や他の送付手段を選択しても問題ありません。
また、Amazonギフト券のようなデジタルギフトを利用する場合は、メールなどの電子的な方法で送信することが可能であり、物理的な配送を選ぶこともできます。
総括
一般に語られるお見舞いのマナーが、現実の状況と必ずしも一致するわけではないことは、しばしば指摘されることです。
現代では入院期間が以前に比べて短期間になっており、また物が溢れる社会において必要な物品は容易に調達できるためです。また、個人の嗜好や健康状態に配慮する必要があるため、昔ながらの品物をお見舞いとして持参する習慣も変化しています。
無論、キャッシュレスの流れが社会に浸透していく中で、ギフト券や電子マネーといった形式も、今後は普及していくことでしょう。