くるみの木から実がなるまでには最低でも6年は見込むべきで、しばしば10年程度を要することがあります。
そうした長い期間をかけても、実がならない事態が起こることがあります。結実しない原因としては以下の点が挙げられます。
- 異なるタイプの木を併植していない
- 高温多湿の地域で栽培している
これらのポイントについては、さらに詳細を解説しておりますので、ぜひご確認ください。
本稿では、以下のテーマを扱います。
- くるみを育てて実を得るまでの年数と、成功のためのコツとは?
- くるみをうまく育てる方法について
- くるみに関して知っておくべき情報
くるみの収穫期間について関心のある読者の方々に役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
クルミの木の実がなるまで!かかる年数と成功の秘訣
クルミの木を栽培して実がなるまでには、他の果物と比べて時間がかかります。
一般的に、クルミの実を早く収穫できるのは植栽後最低6年目からであり、念のため10年程度は見込んでおくことが望ましいです。重要なのは、栽培にあたり根気よく慈しむことです。
しかしながら、長い年月をかけてもなかなか実がつかない事態も発生します。その原因として想定される事項は以下の通りです。
- 異なる2種類のクルミの木を植えていない
- 過度に高温な地域で育てている
ここからは、クルミがしっかりと実をつけるためのコツをご紹介します。
2種類の木を植えることのメリット
くるみの木には雄花と雌花が同じ木に存在し、どちらもその木で咲くことがあります。
ただし、雄花と雌花の開花時期が異なるため、より良い受粉と実の成りを促進するためには、別々のくるみの木を植えることが推奨されます。
一本のくるみの木だけでも受粉はしますが、実付きの良さが保証されないため、若干注意が必要です。
過酷な暑さに弱いクルミの栽培法
耐寒性に秀でているクルミですが、寒さには打ち勝てても、暑さに弱点を持っています。温度がマイナス30℃に達するような寒冷地でさえ、耐え忍ぶ力を持っています。
しかしながら、極度の高温が続くと、葉や木の幹が日焼けしてダメージを受けることがあります。
果実を豊かに実らせるためには、しっかりと樹勢を保つことが重要です。しかし、暑さによって樹が弱ることで、果実を成熟させる力が落ちる可能性があります。
したがって、涼しい場所で、風通しを良くすることで、クルミのよい成長をサポートすることが肝心です。
くるみの上手な育て方とは?
クルミを育てる際に注意したいポイントを以下に挙げていきます。
育てる環境
クルミを育てるために最適な環境を整えることが肝心です。
植え付け
適切な時期と方法で植え付けを行います。
用土
クルミが好む用土の種類と特性を把握してください。
水やり
水やりの頻度と量を調節し、クルミの成長をサポートします。
肥料
適切な肥料を与えることで、クルミはよりよく育ちます。
剪定方法
クルミの木を形良く保つための剪定方法について解説します。
収穫
クルミの木から実を効率よく収穫する方法をご紹介します。
害虫
クルミの木を害虫から守るための対策方法に言及します。
育てる環境
夏場の暑さへの耐性が弱いため、通風性が良くて涼しい環境での栽培が好ましいです。
一方で冬は非常に丈夫で、耐寒温度がマイナス30℃程度に達するため、屋外での栽培が可能です。
クルミの植栽方法
クルミは非常に大きく成長し、高さが30メートル近くにもなる木なので手間がかかります。そのため、手入れしやすいように低めに育てることを推奨します。
低樹高で管理するには、最初の3~5年間を鉢植えで過ごさせることが望ましいです。6号から8号サイズの鉢にクルミの苗木を植えた後、余分な枝を1/3程度剪定して整えます。
クルミは根の伸びが非常に活発なので、植える時期は根が落ち着いて成長しやすい秋が適しています。
推奨の用土について
鉢植えの植栽作業を始める際、用土の選択は肝心です。手軽に手に入る市場の培養土に対し、およそ3分の1量の赤玉土を加える配合が推奨されます。
その一方で、お庭などへ地植えする場合は、ほとんどの土質でも順応して成長するため、特別な土壌の改良をする必要はありません。そのまま植え替えて問題ありません。
水やりについて
屋外での栽培では、基本は自然の恵みに任せて特に手間をかける必要はありません。
ただし、梅雨が明けると雨が降らない期間が続くことがありますので、その際は葉がしおれないように注意深く水を与えてください。
過度な乾燥は実の風味を損なわせる原因となることがありますので、適度な水分管理が重要です。
肥料の与え方
年に1度、10月から11月にかけて肥料を施すことが推奨されます。適切な量は以下の通りです。
- 植えてから1~3年目の木:約200グラム
- 植えてから4~5年目の木:約300グラム
- 植えてから5年以上の木:約500グラム
剪定の正しい手順
植物の休眠期である冬に剪定作業を行うことは、樹木にとってのプレッシャーを軽減させる効果があります。
特に若木の場合、絡み合う枝や密集しすぎている枝は、根元からカットすることで、適切な間隔を保つための手入れが重要です。
樹木が快適に成長できるよう、日差しを均等に受けられる環境を整えるためには剪定が不可欠です。
しかし、成熟した樹木では剪定の必要性は大幅に低下します。それでも枝が密集していたり、建築物やご近所の邪魔になる程度に成長している場合は、整った樹形を保つために剪定することが推奨されます。
クルミの収穫方法
クルミは、秋が収穫の適期になります。緑の殻が自然に割れ始めたら、収穫のタイミングと捉えてください。実を木の棒などで叩き、そっと地面に落として集めるのが一般的です。
落下するクルミは非常に硬く、また高い位置から落ちてくることもあるため、作業中はヘルメットを着用し、目の保護を怠らないよう心がけてください。
収穫した実は殻から取り出し、十分に乾燥させることが大切です。その後、プライヤーや専用のくるみ割り機を使用して殻を割り、中の実を楽しむことができます。
害虫の問題
クルミの実をターゲットにする害虫はいくつか存在します。その中でも、特に増殖力が強いのがコウモリガとアメリカシロヒトリの幼虫で、これらはどちらも蛾の一種に属します。
一旦これらの幼虫による害虫が幅を利かせると、猛烈な速度でその数を増やします。だからこそ、3月の初めをめどに、これらの害虫が繁殖し始める前に、防止剤をまくすることが推奨されるのです。
これらの害虫は、クルミの木だけでなく、周囲の植物にも損害を及ぼす恐れがありますので、いち早い対処が非常に重要です。
また、場合によっては近隣からの不満の種となる恐れもありますので、その点も念頭に置いて行動することが大事です。
クルミについての知識
クルミは、北半球の温帯に自生する落葉する広葉樹の一種で、いくつかの変種が存在します。それらを一つずつ見ていきましょう。
- オニグルミ
- ヒメグルミ
- テウチグルミ
- シナノグルミ
オニグルミ
自生するクルミの中でも特に野生の種であり、主に日本と樺太に生息しています。
縄文時代の遺跡でしばしば見つかりますが、殻も核も硬く、食べるのが難しいです。
ヒメグルミ
オニグルミの変種であり、表皮がなめらかです。日本国内どこにでも生えていることが確認されています。
テウチグルミ
このクルミは西アジアが原産で、江戸時代に中国を経て日本に持ち込まれました。
お菓子によく使われるため、「菓子グルミ」とも呼ばれ、現在も日本での栽培が盛んです。
ペルシャグルミ
もとはヨーロッパ東部が原産地で、アメリカを経由し明治時代に日本にもたらされました。食用として広く用いられる種類で、「西洋グルミ」とも称されます。
シナノグルミ
テウチグルミとペルシャグルミを掛け合わせた交雑種で、長野県で作られたものが多く、現在の日本で栽培されているクルミの大部分を占めています。
特徴としては、大きい実と破りやすい殻が挙げられます。
クルミの花言葉について
かつて中世のヨーロッパでは、クルミが脳の機能を向上させると考えられていたのです。そして、クルミの花言葉には、そのような「頭脳」にちなんだ意味が込められがちです。
具体的な花言葉としては、「知性」、「戦略」、そして「あなたは優れた才能を持っている」といったフレーズが挙げられます。
また、科学的な視点に立つと、クルミの果実には確かに脳に有益な成分が含まれています。ここでは、そんな役立つクルミの成分を紹介しましょう。
クルミを構成する成分
- オメガ3脂肪酸
- ビタミンB1・B6・E
- 豊富な食物繊維
オメガ3脂肪酸の注目成分
オメガ3脂肪酸として知られるDHAやEPAは、特に注目される成分の一つです。ナッツの種類の中でも、クルミはオメガ3脂肪酸の含有量が特に高いことで知られています。
こうした特徴は、クルミの花言葉にも影響を与えていると言われており、そのイメージが反映されているのではないかと推測されます。
ビタマミンB1・B6・Eの豊富な含有
これらのビタミンが豊富に含まれています。
豊富な食物繊維
クルミには、豊富な食物繊維が含まれていることが特徴です。
クルミの樹の生産寿命について
クルミの樹は無限に果実を提供するわけではなく、実をつけ始めるまでには概ね10年の歳月が必要です。その後、樹は約20~30年間にわたって実を結び続けることができます。
しかしながら、その期間を過ぎると徐々に老齢化し、果実をつける力は衰えていく傾向にあります。植樹から40年程度は実りを享受できるため、クルミの木は長期間にわたり私たちに寄り添う存在といえるでしょう。