「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉は、美しさを表現する古典的な比喩です。
百合は容易に想像できますが、芍薬や牡丹は少し見分けがつきにくいかもしれません。多くの人はこの2つの花をイメージできるものの、具体的な違いを正確に説明できる人は少ないでしょう。
見た目が似ていて、開花時期も近いものの、芍薬と牡丹には明確な違いがあります。この記事では、両者を区別するための4つのポイントを紹介し、それぞれについて簡単に説明します。
芍薬と牡丹の分類の違い
まず、芍薬と牡丹の分類上の違いを見てみましょう。
- 芍薬(シャクヤク): ボタン科の多年草
- 牡丹(ボタン): ボタン科の落葉小低木
どちらもボタン科に属しますが、芍薬は草本で、牡丹は低木です。芍薬の草丈は約50cmで、牡丹の樹高は50cmから1mまであり、樹齢によって変わります。
次に、芍薬と牡丹を見分ける4つの特徴を紹介します。
芍薬と牡丹の識別法:4つの特徴
- 茎の色: 芍薬は緑色の茎、牡丹は木質化した茶色の枝
- 冬季の茎・枝: 芍薬は冬に茎が枯れるが、牡丹は枝が残る
- 葉の光沢と形: 芍薬の葉は光沢があり切れ込みがないが、牡丹の葉は光沢がなく切れ込みがある
- 開花時期と花の散り方: 芍薬は5月上旬から中旬に開花し、花ごとに散る。牡丹は4月下旬から5月上旬に開花し、花びらが1枚ずつ散る
茎の色の違い
芍薬は草本であり、茎は緑色です。一方、牡丹は木本で、木質化した茶色の枝を持ちます。
冬季の茎・枝の違い
芍薬は冬になると地上部が枯れてしまいますが、牡丹の枝は冬の間も残ります。
春になると芍薬は新しい芽を地上から出しますが、牡丹は既存の枝から新しい芽を出すため、時には剪定が必要になることもあります。
葉の特性
芍薬の葉は光を反射して輝き、滑らかな表面を持ちます。葉の縁は整っており、切れ込みは見られません。
一方、牡丹の葉は光沢が少なく、暗めの色合いが特徴的です。葉には不規則な切れ込みがあり、エッジは鋸歯状です。
開花期間の違い
芍薬は長く伸びた茎の先端に花を咲かせますが、牡丹は分岐した枝の先に花を咲かせます。
芍薬の花は大きく、赤、ピンク、白などの色が見られます。
一方、牡丹も大ぶりの花を咲かせ、赤や紫、白といった色が見られます。花の形や色には共通点が多いですが、主な違いは開花時期にあります。
芍薬は5月初めから中旬にかけて咲きますが、牡丹は4月の終わりから5月初めにかけて咲きます。
開花時期は牡丹が早く、芍薬が少し遅れますが、環境や品種によって変わることもあります。同じ場所で育てられている場合は見分けやすいかもしれませんが、そうでない場合は開花時期が識別の一般的なポイントです。
総括
この記事では、芍薬と牡丹を見分けるための4つの主な違いについて説明しました。
芍薬が多年草であるのに対し、牡丹は木本です。
特に重要な識別ポイントとして「茎の色」と「冬季の茎の状態」が挙げられます。
牡丹は通常、芍薬の根に接ぎ木されることがあり、根元から芍薬の新芽が生えることがあります。
そのままにしておくと、地上には芍薬の茎が、枝からは牡丹が伸び、区別が難しくなりますが、芍薬は強いため、牡丹が枯れることもあります。春に牡丹の木の根元から芍薬の新芽が見えたら、それを取り除くのが望ましいでしょう。